一般社団法人 岐阜県美濃柴犬保存会

美濃柴犬とは

美濃柴犬(みのしばいぬ)は、岐阜県を原産とする日本犬の一種で、古くから里山の暮らしに寄り添い、人々と共に生活してきた狩猟犬です。
鹿やイノシシなどの狩猟に用いられ、俊敏さや勇敢さ、そして主人に対する忠誠心を兼ね備えた犬として知られています。単なる猟犬としてだけでなく、家族の一員として人と深く結びつきながら暮らしてきました。

全国的に見ても飼育頭数はきわめて少なく、一時は絶滅の危機に瀕しました。しかし、保存会や地元の愛好家たちの粘り強い活動により、貴重な血統は今日まで守り継がれています。

日本犬の中でも特に希少な存在で、赤一枚(全身が赤毛)の毛色をもつ唯一の柴犬です。その鮮やかな赤毛と凛々しい立ち姿は、美濃柴犬ならではの大きな魅力となっています。

特徴

毛色:鮮やかな赤毛(茶褐色系)。光沢があり、四季を通して美しい被毛を持ちます。

顔立ち:やや鋭さのある精悍な顔つき。目は三角形に近く引き締まった印象。

:小さくピンと立ち、力強さを感じさせます。

:太く巻いた巻尾または高く掲げた差尾で、力強さと気品を備えています。

性格:飼い主に忠実で勇敢。家庭犬としても適応力があり、人との絆を大切にします。

歴史

美濃柴犬は、岐阜県の山間部に暮らす猟師たちにとって欠かせない存在でした。
鹿や猪を追い立てる際に見せる俊敏な動きと鋭い判断力は、古くから高く評価されてきました。

しかし、戦後の生活様式の変化や狩猟文化の衰退とともに飼育数は急速に減少。昭和中期には絶滅寸前の状況に陥りました。そこで、地元有志と研究者が立ち上がり、保存会を設立して繁殖・保護活動を本格化。今日まで脈々と血統が受け継がれています。

他の柴犬との違い

全国的に知られる一般的な「柴犬」と比較すると、美濃柴犬にはいくつかの特徴的な違いがあります。

  • 赤毛の発色が鮮やかで、全体的に均一な毛色をしている

  • 顔立ちがより精悍で引き締まっている

  • 耳や尾の形に独特の力強さがある

これらの特徴が「岐阜の地で育まれた特別な柴犬」として認められる理由です。

現在の保存活動

美濃柴犬は頭数が限られているため、計画的な繁殖や登録制度によって厳密に管理されています。保存会では、品評会や交流会を通じて正しい飼育法や犬種の魅力を広め、後世へと伝える活動を続けています。

また、地域住民や愛好家が協力し、美濃柴犬の存在を伝える取り組みが進められています。

一般社団法人岐阜県美濃柴犬保存会

一般社団法人岐阜県美濃柴犬保存会は、昭和51年(1976年)に設立された団体で、美濃柴犬の保護・保存を目的に活動しています。繁殖計画や登録事業のほか、見学会や普及活動を通じて、次世代にこの貴重な犬種を伝える努力を続けています。